2017年6月18日日曜日

陳情第4号 #所得税法第56条廃止の意見書を国に提出することを求める陳情

先週の金曜日は今年度から所属となった、総務常任委員会の陳情審査がありました。

「陳情4号 所得税法第56条廃止の意見書を国に提出することを求める陳情」についてです。


残念ながら、賛成は共産党のみで不採択となりました。

私からの意見は以下の通りです。


所得税法第56条は、個人事業主が家族経営で事業を行っている場合、事業主が妻など家族や親族に働き分相当の金額を支払っても必要経費と認められず、すべて事業主の所得に合算されるというものです。
事業主の所得から控除される働き分は、配偶者が86万円、それ以外の家族は50万円で、実際の労働単価に対し極めて低額に抑えられていることも問題です。所得税法第56条はまず一つに、人権の問題として捉える必要があると考えます。税法上では青色申告にすれば、給料を経費にすることができますが、同じ労働に対し、青色と白色で差をつける制度自体が矛盾しており、憲法で保障されている基本的人権を侵害していると言わなければなりません。
明治時代の家父長制度そのままに、人格や労働を認めない人権侵害の法律が、現在も業者婦人を苦しめており、ドイツ・フランス・アメリカなど、世界の主要国では『家族従業員であるかどうかを問わず、正当な給与は事業経費として控除を認める』としている中、日本だけが世界の進歩から立ち後れ、取り残されています。
現在、立法当時のような家族制度の名残をとどめた社会状況ではなく、さらに、家族内においても近代的個人主義が浸透しています。また、現代社会では、適正対価の算定も可能であり、記帳等も義務化されています。そのため、所得税法56 条の廃止に伴う課題については、それぞれ対処が可能であり、実務上の問題もないと考えます。
国連女性差別撤廃委員会の「最終見解」でも所得税法56条が取り上げられ、配偶者や家族の所得を必要経費と認めていないことが、女性の経済的独立を妨げているとし、見直しを求めています。高木内閣府大臣政務官は、「『最終見解』については、政府に必要な取り組み等を要請する」と述べました。
 一昨年末閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」も、自営業者等の項目で女性の家族従事者としての役割が適切に評価されるよう税制の検討を提起し、これを受けて、国会で大岡財務大臣政務官は、「検討には所得税法56条が含まれる」と答えています。

 労働に対する対価は払われることが当然であり、それにより家族従業者が経済的に独立でき、人格を認められ、平等な権利が与えられるということを基本原則として考えるべきであり、また、56条が廃止されても実務上の問題もクリアできることなどからも、本陳情は採択すべきと考えます。

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